A. カップにはリングタイプと皿タイプがありますが、リングタイプはピストンにはまって取り付く為、カップの円周に亘って均等に液圧が発生します。これに対し皿タイプのカップはピストンと離れてセットする為、シリンダーへの組付等に初期なじみが出るまでの間、傾いてしまう事があります。その為カップの中心に出っ張り(へそ)を付けて、スプリングシートの中心の穴に、勘合させることにより垂直にセットされるよう配慮しております。
A. カップのゴム材質を表すもので”H”はSBR(限界温度120℃)、”S”はEPDM(限界温度150℃)ということです。
因みに、”NBR”は鉱油系のブレーキフルードに使用されるゴム材質で、現在ブレーキ用市販品としては供給しておりません。
A. バックアップリングはカップのベース面が高い液圧等によりシリンダーの内面とピストンとの間に入り込み摺動しているうちにカジリ取られるのを防止する役目をしております。一部大型車ではバックアップリングを使用しない車種でも現車では使用されている場合がありますので、交換時ホイールシリンダーに合わせて使用する必要があります。
A. 材質がシリコン系のゴムで造られたものです。
特に大型車のドラム内にはライニングとドラムの摩擦によって発生するシリンダー周辺の温度は、かなり高温になり使用条件等によってはクラック(ひび割れ)が発生したり、ゴムの特性が失われることがあります。
そのため、耐熱性・耐オゾン性・耐候性・耐寒性に優れたシリコンゴムが大型車に使用されております。
A. ブレーキ部品は重要保安部品でありその用途に対して要求される品質・性能・耐久力を充分に満たす設計・製造・検査を行っておりますが、在庫される場合は、特に鉱油・水・ゴミ・直射日光は絶対避けるようにして下さい。
また、ゴムは劣化しますし、鉄は錆の発生もありますので、先入れ先出しを心掛け長期在庫しないようにして下さい。
A. チェックバルブの主な役割として、ブレーキを作動させていない時の配管内に液圧を残し(残圧)、ドラムブレーキのホイールシリンダー内にあるカップに張りを持たせ、液洩れやエアーの進入を防止する事があげられます。従って、液圧吐出口の数とは無関係です。
A. 本来、ディスクブレーキは、残圧があるとブレーキ引きずり(ブレーキが軽くかかっている状態)の原因となる為、チェックバルブは不要となります。ご質問のように、ディスクブレーキ系統でバルブ使用の場合は、通常のドラムブレーキのような残圧だと、ディスクブレーキが引きずりを起こしてしまう為、チェックバルブに小穴をあけたり、側面に溝を掘ったりして残圧を逃がしています。
A. マニュアルトランスミッション車に設置されている装置で、登坂路の発進を平坦時の発進と同じようなアクセルペダルとクラッチペダルの操作だけでスムースに出来るものです。カーメーカーによって呼び名が違いますが、詳しくはSeiken総合カタログの資料編に掲載しておりますので、そちらをご参照下さい。
A. Seikenでは、ブレーキ液の生産ロット毎に2年間の取置きサンプルを実施しておりますが、2~3年間は品質に全く問題はありません。しかし防錆および酸化防止の添加剤により、液が淡黄色から黄色に変色することもあり得るので商品価値の上から必要以上に長期在庫することは避けるべきです。
A. ディスクローターとパッドの摩擦熱が直接キャリパー内のブレーキ液に伝わる為、瞬間的に温度上昇します。ディスクブレーキは残圧による沸点上昇の加算がない分ドラムブレーキよりも急上昇に耐える高沸点を常に維持する必要がある訳です。
A. ブレーキ液の主原料であるグリコール系のものは、塗料を溶解させるのに使用しており、塗装面に付着すると溶け込んで色をぼかし、塗装をはがす可能性があります。
A. サブタンクの装着されていない大型車では、ラジエーター内水分の蒸発が著しく(6ヵ月間で約5~7%)、そのため、運転者は水を多く補給しがちなのでクーラント濃度がどうしても低下気味となります。そこで、クーラントテスコープなどを利用し、定期的に濃度測定を行い、濃度を保ち防錆効果が低下しないようにする事が肝心です。
A. 凍結温度だけでは決められません。
一般的に、「クーラントの濃度は、不凍性の面から走行地域の最低気温に耐える凍結温度を維持する濃度に保つ必要がある。」とありますが、あまり薄い濃度で使用してはいけません。濃度が薄くなれば、防錆剤の絶対量も少なくなりますので、防錆効果が低下し、防錆効果のある期間も短くなります。
特に、クーラントの場合は防錆性能が長期使用の重要なポイントとなり、JIS規格の金属腐食性試験、循環腐食性試験において、30%水溶液を用いて評価していることから、30%以上の濃度で使用することが望まれます。
また、濃度70%以上では、逆に性能を低下させるので使用してはなりません。濃度測定については、簡便な方法として比重計などで比重を測定するか、屈折計(クーラントテスコープなど)で測定する、などが上げられます。
A. JIS規格では不凍液の適宜な着色をしなければならないとあります。
クーラントの着色は、トヨタ系が赤色、その他カーメーカーが緑色を使用しております。
クーラントの着色は使用確認、液もれの発見、いろいろなオイルとの誤用防止、また特に水だけの使用を区別するために着色しております。
A. 上水道は飲料水を供給するシステムであり、飲用しても人体に悪影響を及ぼさないことが必要であり、厳しい基準が省令によって定められております。
工業用水はその用途に応じて要求水質が異なり、業種別、用途別によって、標準水質の基準値に大きな違いがあります。
自動車用の冷却水には水質にバラツキが少なく、容易に入手が可能である、上水道を使用することが一般的です。
工業用水を用いる場合は何れの業種あるいは用途の水であるか、また、総硬度、金属イオン濃度などを、あらかじめ調査した上で使用することが望まれます。
A. 各種条件の内、判断しやすい内容のみ示します。
1. 使用中のフルードの沸点が140℃以下になった場合。
2. 沈殿物(摩耗紛など)で黒褐色や異常な濁り、浮遊物を確認した場合。
A. Q8に対するAの1. にある使用中フルードの沸点を測定する試験機です。
当社の試験機(BFT-1)はズバリ沸点が表示されます。
沸点は水の含有量で左右されますので、水分含有量とも相関していると言えます。
A. 当社のテスター(BFT-1)は測定温度が180℃以上のとき、最大で5%の誤差が出ます。
A. ブレーキフルードには、一般車向けに3種類の基準が有ります。
沸点の高低によりBF3〈BF4〈BF5とクラス分けされています。
一般ドライバーはどれがいいか、というよりも各車両毎に規定されているクラスのフルードをご使用下さることをお奨めします。ラリーを行うなどの、特殊な車でなく、大衆車で日常からQ8のことについて注意しており、車検毎にフルードの全交換を行う限り、BF3で十分です。
なお、高出力車はエンジンパワーが大きく、制動力も強化し、発熱量が大きいため、BF4クラス以上のフルードを指定する車両もあります。