トラブルの実際例

クルマの安全を守るブレーキ部品に異常があってはなりません。同じようにブレーキ部品の取り扱いについても注意しなければならない点を述べました。
ひとつひとつのことは、ごく当たり前で簡単なことですが、それを日常ついうっかりして、トラブルが起きてしまうのが現実です。
どのようなことが原因でどんなトラブルが起きたか、起き易いトラブルを実例を挙げて説明致します。
1.マスターシリンダー
 ◆タンデムマスターキットの液洩れについて

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品  番 SK51751N TM/Cキット

車  種 N車系 タクシー仕様

調査内容および理由

取付けて6ヶ月(53,173km)走行後、プッシュロッド側より液洩れが発見された。
分解したところ、カップに異常なキズがあった。

調  査

@外 観 

シリンダーボデー・・ブレーキフルードが汚れていて異物が目視された。また、内面には著しい虫食い状の腐食が確認された。 カップ・・プライマリーピストン側のセコンダリーカップが偏磨耗を起こしていた。 また、セコンダリーピストンのプレッシャーカッ プには、粗れたシリンダー内面を摺動したと思わ れる著しい摺動キズが確認された。

A寸   法
 外観検査で確認された有害な個所以外は、図面規格寸法を満足していた。また、ピストンとシリンダーボデーとのクリアランスも限度内であった。

B再現テスト
 実車相当の作動試験で試験を行った結果、液洩れが再現された。

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原因の発見または推察
 シリンダー内面に確認された虫食い状の腐食と汚れたブレーキフルードが原因と推察されます。
シリンダー内面に腐食がありますと、カップがヤスリの上を摺動するような結果となって、カップのリップ部およびベース部が徐々にカジられてしまいます。
また、細かな塵・埃などは往復運動をしているピストンとシリンダー壁にはさまれて、研磨剤的な作用を行い、ブレーキフルードに混じってカップの摺動部分の磨耗を早めてしまいます。

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結論および防止策
 リペアキット交換直後では液洩れが発生していなかったと思われますが、走行後カップにキズがつき、シールでキズに液洩れが発生したものと判断されます。
なお、営業車の場合にはブレーキの使用頻度が高く、このような不具合が早期に発生することも考えられます。従って、ブレーキ整備時には配管内のブレーキフルードをすべて交換することと同時に、シリンダー内面の腐食およびキズが発生している場合には、シリンダーAss'yで交換して下さい。

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